副業制限なら理由公表 厚労省、解禁加速へ企業に要請(2022年6月24日)
政府は兼業副業を強力に推進してます。
副業制限なら理由公表 厚労省、解禁加速へ企業に要請: 日本経済新聞(2022年6月24日 18:00 )
厚生労働省は企業に対し、従業員に副業を認める条件などの公表を求める方針だ。副業を制限する場合はその理由を含めて開示するよう促す。働く人は勤め先を選ぶときに、副業のしやすさを判断材料にできるようになる。副業を認める企業は増えつつあるが、大企業ほど慎重な傾向があり、情報を開示してもらうことでさらなる普及を目指す。働き方の多様化につながり、雇用の流動化の後押しにもなる。
副業や兼業について定めた厚労省…
日本政府は働き方改革の一環として副業兼業を推進しています。 働き方改革が進むと残業時間が少なくなるのでそれに伴って残業代が減り給料が減ることが考えられます。 それを補うために本業が終わった後で副業兼業をすることが考えられます。
(ここでは副業と記載します)
副業に関しては労働基準法第38条がある限り進みません。
労働基準法
(時間計算)
第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
② 坑内労働については、労働者が坑口に入つた時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなす。但し、この場合においては、第三十四条第二項及び第三項の休憩に関する規定は適用しない。
第1項に「事業所を異にする場合においても労働時間は通算する」旨の規定があります。これを分かりやすく言うと本業と副業との時間を通算するということなのです。
合算するとどうなるでしょうか。
本業の会社で8時間働いて、副業の会社で2時間働くとすると、副業の会社の2時間労働は、勤務開始時から1日の法定労働時間8時間を超えることになり、法定労働時間を超えると割増賃金が発生します。
また、月曜から金曜まで本業で40時間働いて土曜日曜に副業の会社で働いても1週間の法定労働時間40時間を超えるので、土曜日の勤務開始と同時に割増賃金が発生し、場合によっては日曜日の勤務開始時から法定休日割増が発生する可能性あり。
割増賃金は本業と副業とどちらが払わなければいけないかというのも厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」平成 30 年1月策定 (令和2年9月改定)に記載があります。
ガイドラインでは、後から雇用契約を締結した方が払いなさいということです。
具体的には、本業の会社の残業時間が少なくなったので、帰宅途中のコンビニ等で副業するために雇用契約を締結していた場合には、副業の方が割増賃金を払います。多くはこのパターンでしょう。
しかし逆に副業の会社と先に雇用契約を締結して、その後に本業の会社を退職して別の本業の会社と雇用契約を締結した場合には割増賃金は本業の会社が払わなければならないのです。
これは正しいのかと私が労働基準監督官に聞いたら、「これは正しい。後から契約した会社が払うことになってる」との回答でした。
続いて「このように副業の割増賃金の未払いの問題は相談あったのか、あるいは裁判があったのか?」 と聞いたところ、今のところそういう相談もなければ裁判も聞いたことがないと、と言っていました。
この労働時間の通算を通算を知らない経営者がほとんどだと思います。
と言うかほぼ全ての経営者は知りません。
知らないうちはまあそれでも仕方ないかもしれませんが知っているのに割増を払わないのは問題ありますね。
ですから副業の人を採用する時には必ず1日の労働時間や労働内容職種や労働場所を確認してから採用してください。
この通算制度を悪用して未払賃金を請求しようと考えてる人たちが今後発生するかもしれませんので。
なぜこのような労働時間の通算があるのかと言うと健康問題が関係してくるということです。
本業の会社で8時間働き、副業の会社でさらに8時間働くと1日16時間労働になり、それを月間で22日続けると8時間残業×22日で残業時間が176時間になり過労死ラインをはるかに超えてしまうのです。
新聞紙上では大企業やIT企業が兼業解禁を推進しているようですが、実際のところは、それほど高給取りでない正社員や低賃金の非正規社員が止むを得ず副業せざるを得ないのでしょう。
今後兼業副業を推進するためにはこの労働時間の通算制度や割増賃金制度を変更しなければなりませんね。
かといって健康問題を棚上げすることは出来ませんし。
難しいですね。