退職代行業者は伝書鳩

「もお無理 もお無理」

2025年1月5日(日)午後6時くらいに東京渋谷の道玄坂を歩いていると「もお無理、もお無理」と賑やかな音楽が流れてきました。その音源は、「退職代行モー無理」の広告トラック。こんな繁華街で広告しても効果あるのでしょうね。
この広告トラックを見た人が退職代行を依頼するのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

2025年、多くの企業が仕事始めとなった1月6日、退職代行サービスの利用件数が過去最多を記録したというニュースもありました。

2025年1月6日に新年初出勤になった会社が多かったようですが、退職代行の件数も過去最多のようです。

毎日新聞の記事です

 

「緊張の糸が…」 9連休明け、退職代行の依頼が250件超と最多に
毎日新聞
2025/1/6 19:29(最終更新 1/7 07:09)
多くの企業や官公庁で仕事始めとなった6日、本人に代わって勤務先に退職意思を伝える退職代行サービスの依頼が急増した。例年より長かったこの年末年始の「9連休」明けで、職場へ向かうハードルも高くなったとみられる。
転職・退職支援会社「アルバトロス」(東京都港区)が管理する「退職代行モームリ」の都内の事務所には、朝から依頼の電話が相次いだ。1日当たりの依頼件数の最多はこれまで約180件だったが、6日は午後5時時点で約4割増の250件超と最多を更新したという。
モームリは、本人に代わって勤務先に退職の理由や意思を伝えるとともに、退職届の郵送や備品の返送などの調整を代行する。利用料は正社員・契約社員は2万2000円、アルバイトは1万2000円だ。

https://mainichi.jp/articles/20250106/k00/00m/020/167000c

【退職代行の法的解釈】

そもそも、退職代行サービスから退職の通知が来た場合、会社は必ず退職を認めなければならないのでしょうか?

法的には、会社が退職を拒否することも可能です。しかし、退職代行サービスを利用する人は、お金を払ってでも退職したいという強い意思を持っています。そのため、会社が翻意させることは困難でしょう。

就業規則に「退職の申し出は30日以上前までにしなければならない」という規定があったとしても、退職代行サービス利用者は退職日まで会社と一切連絡を取らないケースがあります。
人としてどうなのかという疑問はありますが、法律上それでも違法ではないのです。自宅に行って会社まで引きずって来ることはできません。
会社としては退職代行から連絡があったら諦めてください。
会社としては、退職代行サービスから連絡があったら、従業員の退職の意思を尊重し、円満な退職手続きを進めることが望ましいでしょう。

 

【会社側の対応】

会社は、退職代行サービスを利用する従業員が増えている現状を真摯に受け止め、社員の勤務態度や職場環境に問題がないか見直す必要があります。日頃の声掛け等で従業員とのコミュニケーションを密にし、悩みや不満を把握するように努めましょう。

また、退職代行業者を逆に利用して、退職届の提出、業務の引継ぎ、貸与品の返却、私物の持ち帰りなど、円滑な退職手続きを行うことも可能です。

 

【弁護士の見解】

いつもお世話になっている弁護士さんは、「退職の申し出ができないほど問題がある会社なのでしょう。労働者側弁護士から、退職代行を切り口に、パワハラ、セクハラ、有給を認めない、賃金未払い等で会社に金銭を請求することが考えられます」と言っていました。

 

【「代行」と「代理」の違い】

「代行」と似た言葉に「代理」があります。この二つの言葉はよく混同されますが、法的には大きな違いがあります。

「代行」とは、代行者(退職代行であれば退職代行業者)が本人(退職希望者)の決定した意思を伝達するだけであり、代行者自身が意思決定をすることはできません。

一方、「代理」とは、代理人(弁護士)が与えられた代理権の範囲内で、自ら(退職希望者)の意思決定に基づいて(権限を伴う)代理行為を行うことを指します。

例えば、商談で課長が「部長の代理です」と言って部長の名刺を出したとします。商談の途中で課長が「持ち帰って部長に決裁を仰ぎます」と言って会社に戻った場合、これは代行で、課長自身が契約の意思決定をすることはできません。

一方、課長が「契約を締結することで合意しました」と言った場合、これは代理にあたります。課長は部長から契約締結の代理権を与えられているため、課長の意思決定はそのまま部長の意思決定とみなされます。

このように、「代行」と「代理」は、意思決定の主体が異なるという点で大きな違いがあります。

 

【まとめ】

退職代行サービスの利用が増加している背景には、様々な要因が考えられます。会社は、従業員が安心して働ける環境を整えるとともに、退職に関する手続きを円滑に進めることが重要です。

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