皆勤手当や精勤手当は中途半端な手当

多くの会社で皆勤手当や精勤手当が支給されています。
皆勤手当や精勤手当は、従業員のモチベーション向上や出勤率アップを期待して、多くの企業で導入されてきました。しかし、近年ではその効果や必要性について疑問視する声も上がっています。
緒手当統廃合推進派の私もその一人です。

 

就業規則や賃金規程で皆勤手当や精勤手当は次のように定められています。

 

(例)
賃金規程または就業規則
第〇条(皆勤手当)
皆勤手当は、一賃金計算期間において、欠勤、遅刻、早退および私用外出が無いとき、皆勤手当として、月額××円を支給する。なお、次条の精勤手当との併給はしない。

第〇条(精勤手当)
皆勤手当は、一賃金計算期間において、欠勤、遅刻、早退および私用外出が2回までのときに、精勤手当として、月額××円を支給する。

 

皆勤手当や精勤手当を支給する目的は?

皆勤手当や精勤手当の目的は、従業員のモチベーション向上と出勤率の向上とされて、皆勤や精勤することで報酬が得られるというインセンティブを与えることで、従業員の遅刻や欠勤を減らし、出勤率を向上させることと考えられます。
会社から見ると、従業員の欠勤・遅刻・早退・私用外出が減ることで、生産ラインの滞りや業務の遅延を防ぎ、生産性を向上させることができます。
従業員から見ると、無欠勤・無遅刻・縫早退・私用外出なしが当然なので、皆勤手当は支給されて当然の既得権。

 

皆勤や精勤の抜け穴

・有給休暇に切り替える
当日体調が悪くなったり、遅刻しそうになったりしたときに、有給休暇に切り替えてしまうことがあります。就業規則に定められた手順(一般的には、始業時刻前までに上司に連絡する。やむを得ないときは事後連絡)で有給休暇取得を申請されたら会社は断れません。そのため実質的には欠勤、遅刻でも皆勤や精勤扱いになります。

 

・なりすまし打刻
タイムカードが打刻機の近くにある会社で、遅刻しそうな人が携帯電話で誰かに打刻を依頼することがあります。もちろん就業規則で禁止。

 

・タイムカード忘れ
社員証をタイムカード代わりにしている会社では、遅刻したらタイムカードを押さずに、社員証を忘れたことにして遅刻してなかったことにする人もいます。(私の会社員時代の同僚の話です)

 

皆勤手当、精勤手当の法的性質

皆勤手当、精勤手当を支給しなければならない法律上の義務はなく、支給する・しない、金額、支給時期は会社が決められます。
支給しなくても違法ではありません。
支給するのであれば規定を明確にして、それに従って支給しなければならず、社長の特別な配慮は入れられません。

 

法律上の注意点

皆勤手当や精勤手当は、残業代の計算から除外できないが、最低賃金の計算では除外されます。

残業代の計算から除外できる賃金は、
1.家族手当(扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当)
2.通勤手当(通勤距離または通勤に要する実際の費用に応じて算定される手当)
3.別居手当(会社の異動命令等により同一世帯の家族と別居を余儀なくされる労働者に対して支給される手当)
4.子女教育手当(子供が海外で学校教育等を受けるための経費を充当する目的で支給する手当)
5.住宅手当(住宅に要する費用に応じて算定)
6.臨時に支払われた賃金(退職金、慶弔金)
7.1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
だけです。(家族手当や住宅手当として全員一律に支給すると除外されません)

最低賃金の計算から除外される諸手当(月給で支払われる)は、
1.臨時に支払われる賃金(退職金、慶弔金等)
2.1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
3.所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金)
4.所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金)
5.午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金)
6.精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
だけです。

皆勤手当や精勤手当は残業代の計算さんに入れなければなりませんが、最低賃金の計算には入れられません。
給与を決めるときに皆勤手当や精勤手当を入れて計算して最低賃金を下回らないから合法だとは限りません。
皆勤手当、精勤手当、家族手当を除い計算して最低賃金と比較してください。

(例)月額基本給20万円、皆勤手当1万円の場合、残業代は21万円で計算しますが、最低賃金は20万円で判断します。
月間所定労働時間を168時間(1日8時間×所定労働日数21日)とすると、
残業代計算の時間額は210,000÷168=1,250円
最低賃金の時間額は200,000÷168=1,190円

最低賃金ギリギリで給料を設定している会社はもう一度確認してください。

 

まとめ(諸手当統廃合推進派の私の助言)

 

皆勤手当や精勤手当は実質的に固定給なので廃止して基本給に加算する。

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