介護休業は、家族を介護するための休業ではありません
「家族を介護するために介護休業を取りたいのですが93日までしか取れないのですか?」
という質問が度々あります。
これについて厚生労働省はホームページで答えています。
(問)家族の介護はいつまで続くか分かりません。介護休業期間が93日までというのは短いと思います。
(答)介護休業制度は、介護を要する家族を抱えた労働者が雇用を継続していくためには、少なくとも介護に関する長期的な方針を決めるまでの間、当面家族による介護がやむを得ない期間について、緊急的対応措置として、休業ができるようにすることが必要であるという観点から創設されました。
よって、「93日」という期間は、介護に関する長期的方針を決めるための期間と考えてください。
家族の介護は、いつまで必要か終わりが見えません。また、介護の必要度や利用する介護サービス、兄弟姉妹が何人いるかなど、人によって介護を取り巻く状況は様々ですので、働き方や介護サービスについて勤務先、ケアマネジャー等介護の専門家とよく相談し、介護のための所定労働時間の短縮措置勤務や1日単位で利用できる介護休暇制度も活用しながら、仕事と介護を両立させてください。
このように答えていますが、「93日間で施設を探して入所させてください」ということのようです。
この93日は、当該家族1人会社1社につき1回ですので、現在の会社で93日、転職した会社でも要件を満たせば93日取得できます。
介護休業の賃金支払いと給付金
・介護休業中の賃金支払いは義務ではありません。
・無給であった期間は、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。
・金額は、おおまかにいうと、給与日額相当額の67%×介護休業日数(最大93日)
(金額には上限があります)
・支給期間は、93日分(1回で受給しても3回までの分割受給もできます)
・申請者は会社ですが、介護休業者本人も申請できます。
詳しくは厚生労働省のホームページをご参照ください。
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_continue.html
令和7年4月1日から介護休業の改正点をご案内します。
1.介護休暇(介護休業とは違います)を取得できる労働者の要件緩和(労使協定で定めてあれば)
〈除外できる労働者〉
令和3年3月31日まで
①週の所定労働日数が2日以下
②継続雇用期間6か月未満
↓
令和7年4月1日から
①週の所定労働日数が2日以下
※②を撤廃
(注意)介護休暇と介護休業は休みが取得できる期間が違います。
介護休暇は短期間(対象家族1人につき年間5日間)、介護休業は長期間(対象家族1人につき通算93日)の休業です。
2.介護離職防止のための雇用環境整備(義務)
介護休業や介護両立支援制度等(介護休暇に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、 時間外労働の制限に関する制度、深夜業の制限に関する制度、介護のための所定労働時間の短縮等の措置)の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下①~④のいずれかの措置を講じなければなりません。
① 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
3.介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
(1)介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認
介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項の周知と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行わなければなりません。
【周知事項】
①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)
②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)
③介護休業給付金に関すること
【個別周知・意向確認の方法】
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
(①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ)
(2)介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
労働者が介護に直面する前の早い段階で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるため、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項について情報提供しなければなりません
【情報提供期間】
① 労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)
② 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間 のいずれか
【情報提供事項】
① 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)
② 介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)
③ 介護休業給付金に関すること
【情報提供の方法】
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
(①はオンライン面談も可能)
4.介護のためのテレワーク導入(努力義務)
業種、職種によっては導入できないでしょうが、努力義務だからといって何もしないことは違反。
導入に向けて何らかの取り組みをすることが義務化されました。その取り組みをした結果、結果導入できないのであればよいのです。
例えば、導入に向けて社会検討会を実施したが、導入までの難易度が高く現実的でないので導入不可、であればよいのです。