トラックドライバーは稼げる職種ではありません

「もっと稼がせてください」とか「稼げないなら退職しますよ」なんて言うトラックドライバーがいますが、
トラックドライバーはそれほど稼げません。

合法的なトラックドライバーの月額賃金の上限を簡単に試算してみます。
もちろん各種法規等を遵守することは当然です。

【前提条件】
・1か月間の拘束時間、284時間
・1か月、30日
・1日の所定労働時間、8時間
・1日の最大拘束時間、13時間
・1日の平均的な拘束時間(A)13時間、(B)12時間、(C)11時間

 

試算(A)1日の平均的な拘束時間13時間の月
月間拘束時間284時間÷1日の13時間=21日(労働日数)
21日×8時間(1日の所定労働時間)=168時間・・・①
21日×1時間(1日の休憩時間)=21時間・・・②休憩なので無給
284時間―(168時間+21時間)=95時間・・・③合計残業時間
95時間の残業のうち60時間×1.25=75時間・・・④60時間までの残業は2割5分の割増
35時間×1.5=52.5時間・・・⑤60時間越の残業は5割の割増
合計=①168時間+④75時間+⑤52.5時間=295.5時間

 

試算(B)1日の平均的な拘束時間12時間の月 
284時間÷12時間=23日
23日×8時間(1日の所定労働時間)=184時間・・・①
23日×1時間(1日の休憩時間)=23時間・・・②休憩なので無給
284時間―(184時間+23時間)=77時間・・・③合計残業時間
77時間の残業のうち60時間×1.25=75時間・・・④60時間までの残業は2割5分の割増
17時間×1.5=25.5時間・・・⑤60時間越の残業は5割の割増
23労働日では2日の土曜出勤があり土曜出勤の割増=8時間×0.25×2日=4時間・・・⑥
(1週40時間を超えると残業扱いになるので土曜出勤は残業とします)
土曜日に出勤した休憩時間、1時間×2日=2時間・・・⑦休憩なので無給
合計=①184時間+④75時間+⑤25.5時間+⑥4時間-⑦2時間=286.5時間

 

試算(C)1日の平均的な拘束時間11時間の月
284時間÷11時間=25日
25日×8時間(1日の所定労働時間)=200時間・・・①
25日×1時間(1日の休憩時間)=25時間・・・②休憩なので無給
284時間―(200時間+25時間)=59時間・・・③合計残業時間
残業59時間×1.25=73.75時間・・・④60時間までの残業は2割5分の割増
25労働日では4日の土曜出勤があり土曜出勤の割増=8時間×0.25×4日=8時間・・・⑤
土曜日に出勤した休憩時間、1時間×4日=4時間・・・⑥休憩なので無給
合計=①200時間+④73.75時間+⑤8時間-⑥4時間=279.75時間

 

表にまとめると

1日の平均的な拘束時間 13時間 12時間 11時間
労働日数 284時間÷13時間=21日 284時間÷12時間=23日 284時間÷11時間=25日
①1日8時間以内の労働時間(月間) 21日×8時間=16時間 23日×8時間=184時間 25日×8時間=200時間
休憩時間(月間) 21日×1時間=21時間 23日×1時間=23時間 25日×1時間=25時間
②最大残業時間(月間) 284ー(168+21)=95時間 284―(184+23)=77時間 284―(200+25)=59時間
③月間60時間以内の残業時間 60×1.25=75時間 60×1.25=75時間 59×1.25=73.75時間
④月間60時間を超える残業時間 (95-60)×1.5=52.5時間 (77-60)×1.5=25.5時間 なし
土曜(週6日目)出勤日数(月間)…21日を超える労働日数 なし 23日―21日=2日 25日―21日=4日
⑤週40時間を超える割増 なし 8時間×0.25×2日=4時間 8時間×0.25×4日=8時間
⑥土曜(週6日目)労働日の休憩時間(月間) なし 1時間×2日=2時間 1時間×4日=4時間
合計 168
+75
+52.5

=295.5時間

=295時間30分

184
+75
+25.5
+4
△2
=286.5時間

=286時間30分

200
+73.75

+8
△4
=277.75時間

=277時間45分

ざっくりと時間に換算すると290時間前後ではないでしょうか。

この時間に時間給を掛けた金額がトラックドライバーの合法的な働き方の最大の月給です。

例えば時給1,200円で、1,200円×295.5時間=354,600円や1,200円×286.5時間=343,800円
時給1,400円で、1,400円×295.5時間=413,700円や1,400円×286.5時間=401,100円

 

これは基本給だけの試算ですので各種手当があれば別途加算されます。
(無事故手当、洗車手当、愛車手当、精皆勤手当のような月額で支給される諸手当も残業代の計算に算入しなければならず、かなり複雑になります)
当然、深夜割増や法定休日割増があれば必要です。

 

最大限の時間働いてもこの程度です。
金額だけ見ればそれなりの金額ですが、労働時間で割ると、どうなのでしょうか?
時給単価を上げなければ月給も上げられませんが、そう簡単に運賃を上げられることでもないので困ったものです。

 

 

 

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