正社員の壁、人手不足でも 非正規から転換7%どまり
日経新聞に非正規社員から正社員になることが難しい記事があります。
正社員の壁、人手不足でも 非正規から転換7%どまり
2024年1月20日 5:00 [会員限定記事]【この記事のポイント】
・人手不足なのに正規雇用への転換が鈍い
・非正規雇用はどれくらい増えているのか
・「正社員の壁」を生んでいる原因は何か
非正規社員から正社員への転換が進まない。正社員になりたい人のうち、実現できたのは7%前後にとどまる。人手不足感は高まっているのに、人材のミスマッチで非正規からの採用は伸び悩む。日本は主要国に比べて正規と非正規の給与の差が大きい。日本全体の賃金が低い要因になってい…https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF012UZ0R01C23A2000000/
正社員になりたくないのか、正社員にさせたくないのか、どちらかは分かりませんが、「正社員の壁」だなんて言葉が出てきました。
これと似た言葉で「年収の壁」という言葉もありますが、根は同じで、非正規を使うメリットとして、安い人件費で働かせたいだけでしょう。
であれば、非正規で働かたりせるメリットをなくしてしまえばよいのです。
案1 非正規雇用者(パートタイム労働や派遣労働者)の最低賃金を1.3倍にする
1.3倍の根拠は、社会保険料。
地域別最低賃金が1,000円であれば、非正規の最低賃金を1,300円にします。
そうすると出てくるのが「年収の壁」
一定の労働時間と収入を超えると扶養配偶者から外れたり、社会保険に加入したりしなければならないので、就業時間を調整して扶養配偶者にとどまり、税制や社会保険のメリットを維持するために壁ができてしまってます。その壁を超えて労働して収入があると、税負担や社会保険料負担があり、手取給与が減ってしまうのです。
最低賃金が上がると、年収の壁を超えないようにするために労働時間が短くなって、さらに人手不足で会社が困ると考える人がいます。
そこでもう一つの策です。
案2 社会保険の加入要件を1週間の労働時間を10時間(月間40時間)までに引き下げる
これは、厚生労働省が、雇用保険の加入要件を緩和する方向で動いていて、その基準が週10時間となるようです。
雇用保険「週10時間以上勤務」も加入へ 500万人対象
2023年11月21日 22:06 [会員限定記事]厚生労働省が雇用保険の加入条件の一つとしている週の労働時間について、現行の「20時間以上」から「10時間以上」に緩和する方向で検討していることが分かった。新たにおよそ500万人が加入する見込みだ。共働き世帯や短時間労働者の増加を踏まえて多様な働き方に対応した制度にする。
2028年度までに拡大する。年内に厚労省の審議会で原案を示し、24年の通常国会に関連法案を提出する。
雇用保険の加入条件には週…
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA21C5Z0R21C23A1000000/
現在は雇用保険の加入要件は週20時間以上、社会保険は会社の規模によって20時間、30時間以上と社会保険の加入要件が違っているので、複雑で分かりにくくなってますが、これを機に週10時間に統一してしまえばいいのです。
非正規の最低賃金を上げて、年収の壁を下げれば、壁ギリギリで労働時間を調整することの意味がなくなり、もっと働いて高収入を得ることになるでしょう。
そうなれば年収の壁は自然消滅するでしょう。
さらにもう一つ、契約社員を使うメリットとして、契約社員として採用して雇用契約期間を設定すれば比較的容易に解雇できる、と言われていますが、果たしてそうでしょうか?
雇用契約期間を設定したとしても、それほど簡単には雇用契約終了とはなりません。
有期雇用を繰り返した契約社員が雇用契約期間満了のため雇用契約終了となると「雇止め」という解雇と同じような問題が起こるのと、有期雇用期間が5年を超えた契約社員が会社に無期雇用を申し出ると会社は無期雇用にさせなければなりません。なので思ったほど簡単に雇用契約を終了させられないのです。
政府は、非正規社員対策をするなら、最低でもこれくらいは今すぐにしなければなりません。
安い労働力を求めて移民政策まっしぐらのようですので期待できませんが・・・