年収の壁とマイナンバー保険証の徹底をまとめて解決する方法

難易度は高いですが、年収の壁とマイナンバー保険証の徹底をまとめて解決する方法があります。

 

年収の壁とは

年収の壁とは、会社員や公務員の扶養配偶者(多くは主婦)が、ある一定の年収があると社会保険(健康保険、厚生年金)に加入しなければなりません。加入すれば保険料がかかり、給料から引かれ、手取給料が社会保険未加入時よりも下がる。だから社会保険に加入するのは損だ。その損得(社会保険に加入するしない)の境界線が年収130万円とされているため、130万円の壁と呼ばれています。

(注)文中の社会保険とは、協会けんぽや健康保険組合の社会保険のことです。

 

国民年金加入者は3つに分類されています。
第1号被保険者は、自営業者や無職や20歳以上の学生で第1号と第2号被保険者以外の日本国内在住の全ての人(外国人を含む)
第2号被保険者は、会社員や公務員で1週間の労働時間が30時間以上(会社規模によっては20時間以上)の人(パートタイマー、アルバイトでも)
第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者で一般的に扶養配偶者と呼ばれています。

130万円の壁の対象者は第3号被保険者だけなのです。

 

解決方法

国民全員を国民健康保険(同時に国民年金)に加入させることです。
健康保険証を顔写真付きのマイナンバーカードにすればよい。
生体認証にすれば更によし。

マイナンバーカードに健康保険証機能を付けるのではなく、健康保険証にマイナンバー機能を付ける方が簡単で、早いでしょう。

 

メリット1 国民全員が公平になる

国民全員を国民健康保険(第1号被保険者)にすれば第3号被保険者がなくなります。

自営業者の扶養配偶者は国民年金の第1号(自営業の仕事)か第2号被保険者(会社員か公務員)で、各自が保険料を納付しています。
第3号被保険者だけ保険料を支払わなくても健康保険証を使えたり年金をもらえたりしてズルイということも聞きますが、全員が第1号被保険者になれば公平になります。

 

健康保険組合や教会けんぽでは扶養家族がいてもその人の分は保険料がかかりませんが、国民健康保険制度では扶養家族がいても、人数分の国民健康保険税(料)がかかりますので、これも公平です。

 

せっかくマイナンバー制度を導入したのですから、使うべきです。マイナンバーで各人の所得が把握できるのですから、賞与を含めた年収ベースでの保険料が決まります。

 

社会保険の保険料は4,5,6月に支給される給料を基礎に決定されるので、中小企業の中には4,5,6月支給の給与では残業代が少なくなるように残業時間を抑える会社があるとも聞きます。毎月の役員報酬を10万円程度に抑えて役員賞与を何百万円もらえるようにすれば、役員の年収では同じでも社会保険料が大幅に抑えられて役員個人も会社も助かるというような指導をしている書籍が市販されてますが、そんなことが無駄になります。

 

社会保険は給料の金額だけで保険料が決まりますので、会社員が不動産収入があったとしても社会保険料には関係ないのです。一方、国民健康保険の保険料は前年の不動産集等も含めた年収で決まりますので極めて公平です。

 

メリット2 手取給料が上がる

国民年金に加入していれば給料から社会保険料を差し引かれませんので手取りが下がることはありません。
逆に社会保険料が引かれないので3割アップするのです。
現在、社会保険料は大まかにいうと、給料の総支給額の約30%かかっていて、それを会社と従業員で半分づつ負担しているのです。なので社会保険料を引かなくなれば30%の保険料が給料に上乗せされるのです。給料30%アップ。

年収の壁は給料から社会保険料を引かれた結果、手取りが安くなるということですが、社会保険料を差し引かない国民健康保険料(税)と国民年金保険料なら手取りが下がることはありません。

 

メリット3 保険証を発行しなくて済む

会社に入社した、退職したときには社会保険の手続きが必要になりますが、国民健康保険になれば入社しようが、退職しようが、引越ししようが、名前が変わろうが一切手続き不要です。紛失したときでも、現在は会社の担当者が再発行用紙に記入して協会けんぽに再発行用紙を郵送していると思いますが、マイナ保険証になれば発行は個人の仕事になりますので会社の担当者はしなくて良いのです。というより、してはいけないのです。

協会けんぽや健康保険組合もかなりの事務作業が軽減できるでしょう。
健康保険証の発行、廃棄に一体いくらかかっているのでしょうか?

 

 

メリット4 医療費の削減につながる

マイナンバーカードは写真付きですから、なりすまし受診ができないでしょう。
この問題は実際に不正受診のデータが見当たらないので何とも言えませんが、生体認証のマイナ保険証でしたら、かなりの不正受診は予防できるでしょう。もちろん、医療機関がしっかりと不正受診を見抜ければですが。

 

おまけ 遺族年金もなくなる

遺族年金とは、簡単にいうと、第2号被保険者が年金を受給中に死亡したら、その扶養配偶者である第3号被保険者の収入が自分の国民年金だけになり、低額の年金しかもらえなくなる。その救済として第2号被保険者がもらっていた厚生年金の4分の3を遺族厚生年金として第3号被保険者がもらえる年金です。

この遺族厚生年金は、第1号被保険者にはないのです。ただし第1号被保険者の子供が18歳の年度末までであれば遺族基礎年金があります。

国民全員が国民年金の第1号被保険者になるということは、全員が保険料を納付することになるので、年金額も高くなるはずです。

 

前提条件

ただし、この解決策には前提条件があります。
・厚生年金を廃止すること
・国民年金の月額を一人毎月満額で12万円程度に引き上げること
この2つが必要ですので、かなりの難問かもしれません。

3号被保険者制度は昭和61年から始まった制度で、その当時は夫が定年まで会社員や公務員で、妻は専業主婦という家族構成が多数を占めていましたが、現在は専業主婦が少数になってますので、いい加減制度を再設計しなければ社会保険制度が維持できなくなります。

ちなみに、2022年度の第1号被保険者で納付者は709万、第3号被保険者は721万。国民年金保険料を納付している人よりも、納付しなく良い人が多いのって、社会制度としてどうなんでしょう。

現在および将来の会社員や公務員は、これ以上の社会保険負担には耐えられないでしょう。
給料から社会保険料を引かない代わりに(社会保険料を抑えて)、消費税を社会保障の財源に充てるしかないのでしょう。

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