運送会社は弁護士のATMではありません! ドライバーの未払残業代請求予防のために

「弁護士から内容証明郵便が来た! いったい何事だ!」

 

弁護士からの未払賃金(残業代)請求が続いてます

退職後、数か月くらい経過した時に、弁護士からの内容証明で在職中の未払賃金(残業代)を請求される事例が急増しています。退職時には「お世話になりました」等の言葉で社長に挨拶したものの、お金が無くなったのでしょうか? 会社に恨みを持っているのでしょうか? 代理人弁護士を使って未払賃金の請求をするのです。

最近では退職代行なるサービス(?)が急増中。労働に詳しい弁護士が言うには、「退職代行を切り口にして最終的に未払賃金(残業代)請求に持って行くのだろう。自分で退職の申し出が出来ない会社であれば、何らかの問題があるはず。未払賃金の他にもパワハラであったり、不当解雇であったりと、探せば何か出てくることを期待しているのでしょう」とのこと。

 

未払賃金請求急増の3つの理由

(1)退職した元従業員が、生活のためであれば今日明日の現金を求めてくる

上司や先輩からパワハラ、いじめ、嫌がらせを受けて退職した者が、仕返しとばかりに弁護士事務所に駆け込むこともあります。インターネット上では着手金無料・完全成功報酬の弁護士が膨大な広告費を使い広告を出しているのです。

(2)自分がある程度の未払賃金を入手できたら、退職した元同僚にもすすめる

すすめられた者が未払賃金を得たら、紹介手数料のような名目で金銭を要求します。更に他者に持ち掛ける。またまた他者に持ち掛ける。まさに未払賃金請求の無間地獄。

(3)会社が残業代を理解していない

残業時間の集計方法や残業代の計算方法を理解していなければ、未払賃金が発生しても不思議ではありません。払う意思がないというのは論外です。

 

そもそも、残業代とは何でしょうか?

残業代とは、法定労働時間を超えて労働したときの「通常の賃金+割増賃金」。
労働基準法で、法定労働時間は1週40時間、1日8時間と定められており、これを超えて労働した時間が、いわゆる残業時間になります。

1日8時間超えの残業時間は広く知られていますが、1週40時間超えの残業時間はそれほど認識されていません。デジタコでは1日の残業時間は計算されても、1週間の残業時間は計算されないため、多くの運送会社で見逃しているのです。
例えば、月曜から土曜日の6日間の各日に8時間労働で週48時間働いた場合、月曜から金曜までに40時間働いているので土曜日の8時間が残業時間になり、始業時から割増賃金が発生します。

 

賃金トラブルが起こる可能性が高い給料体系とは?

多くの運送会社で導入されて、賃金トラブルが起こる可能性が高い給料体系が3つ。

(1)日給1日××円

この問題点は、1日××円の金額は何時間で××円かが明確でないこと。
トラブルになるのは、例えば、1日12,000円。会社は1日を朝から夜までの丸1日だと考えていますが、ドライバーは1日を法定労働時間である8時間だと考えていて、認識の違いがあります。
労働基準法では、1日は8時間が正しいのです。休憩時間を除いて1日12時間労働したのであれば、4時間分の残業代を支払わなければなりません。この4時間分の残業代を支払っていないと未払賃金請求されます。さらに、労働日数が多いドライバーには土曜日に労働した分も残業代になり得ます。

(2)実質は歩合給であるが、基本給、諸手当、残業代に振り分ける

1か月の売上の●%が総支給額で、それを基本給、諸手当、残業代に振り分けている会社があります。例えば、1カ月の売上が100万で、30%が総支給額だとしたら、総支給額30万円。これを基本給20万円、諸手当5万円、残業代5万円のように振り分ける。これなら残業代を支払っているので問題ないだろうと思いますが、間違いです。残業代を支払っているように見えますが、総支給額を振り分けているだけですので、未払賃金請求が来たら基本給20万円に諸手当5万円と残業代5万円を加算して、30万円に対して残業代を再計算することになります。残業代は残業時間に対応して支払わなければならないのです。

(3)固定残業代

何時間分かの残業代をあらかじめ設定して固定残業代として支給したり、何時間分の残業代を基本給に含んで支給する会社がありますが、この場合でも未払いになることがあります。それは、固定的に支払っている残業代よりも実際の残業代の方が多くなったときにその差額を支払っていない場合です。固定的に支払っているからといって何時間でも働かせてよいことはありません。
それでは最初から90時間程度の固定残業代を設定しておけばよいかというと80時間以上の残業時間を設定すると公序良俗に反するとして、固定残業代自体が認められなくなり、その全額を基本給と合算して残業代の再計算になります。もちろん固定的に支払った残業代が実際に発生した残業代よりも多かったとしても差額を返金させることは出来ません。

 

会社がとるべき対策

それでは運送会社はどんな対策をとればよいのか?
会社の実情に合わせて合法的な給料体系に変更します。
合法的とは何かというと、
「残業時間を集計して、その時間に対応した残業代を支払う」
合法的な給料体系は3つあります。

(1)時間型

労働時間に対して給料を支払う。時間給または日給。
この時間型は、シンプルでトラブルがなく運用が簡単な制度です。
しかし、ドライバーが余計な時間を費やしたり、最短時間で帰庫しないことがあり、その時間も給料が発生するので、かえって会社としては給料を払いすぎるという意見もあります。それは会社内での運行管理で解決できます。無駄な時間を使っていると拘束時間の上限に達することがありますので、会社としてはきっちり拘束時間を管理しなければなりません

(2)歩合給

法律では「出来高」といいます。「売上」や「売上から一定の経費を差し引いた金額」に一定割合をかけた金額を支払う。歩合給は違法だということをいう人がいますが、歩合給でも残業代を支払えば合法。この歩合給も会社は拘束時間を管理しなければなりません。

★個人別売上集計ができる会社は、歩合給がおすすめ。その理由は残業代を抑制できるから。

 

(3)時間型と歩合給の併用

時間に対する賃金と歩合給に対して支払う賃金を併用し、残業代を支払う。

いずれにしても労働時間の管理、集計は義務(労働安全衛生法)

 

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