労働時間削減が進まない理由(2019年05月11日)

日本を代表する大企業が労働時間短縮で混乱しています。
労働時間短縮は、製造工程ではかなり進んでいるようですが、問題になっているのは事務職や営業職。
いわゆるホワイトカラーですね。
読売新聞からの引用

仕事の妨げ…味の素「労働7時間に短縮」やめた
味の素は、これまで段階的に進めてきた労働時間の短縮をストップする。2020年度の達成を目指していた「所定労働時間7時間」の目標を取り下げた。これ以上、短縮すれば、時間内に仕事を終えることだけにとらわれる社員が出てくるなどの弊害が生じかねないためだ。現在の労働時間7時間15分を続ける。

味の素の西井孝明社長は、10日の決算記者会見で、「時間ありきの働き方を求める段階は過ぎた。今後はどれだけクリエイティブ(創造的)な仕事に時間を割けるか、実質的なテーマにかえる」と話した。味の素は所定労働時間を、17年度に、それまでの7時間35分から20分短縮させた。勤務時間は1時間の休憩を挟み朝8時15分から午後4時30分までとなっている。

勤務時間の短縮は、効率的に働くという社員の意識改革につながった。ただ、その一方で勤務時間を気にして、新しいアイデアが浮かびづらくなるなど負の側面も生じてきたという。本社の管理部門に比べて、営業部門は勤務時間を減らすのが難しいなど、働く部署によって差も出た。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190510-OYT1T50337/

最後の1文に答えが隠れています。
「働く部署によって差も出た」とありますが、正しくは「上司によって差が出た」でしょう。

私は個人事業ですので、基本的に、どこに行くにも、何をするにも自分一人で仕事をしていますが、大企業の人たちは役所に申請に行くにも、取引先企業への訪問にも、決裁権限のある上司を含む4,5名程度のグループで列をなして移動して、訪問先での打ち合わせでも会議室が満員に。肝心の打ち合わせでは発言者は1,2名、他の人たちはみんな黙ってで聞いているだけ。

会社に戻れば、外出していた決裁権限者を待つ行列。
決済を待つ間に時間が刻々と消費され、気が付くと19時、20時過ぎ。
その後に報告書や資料つくり等の作業、準備。

営業職も同様で、自分が外出している間に社内で事務処理していくれる人がいなかったり、いても業務指示が出来なかったり、任せなかったりで自分一人ですべて背負って、個人事業と変わらない。
社内の組織化が出来ていない。

まあこんなところでしょうか。

労働時間削減が進まない理由は、「職務範囲の不明確さと決裁権限の死守」

これを解決しなければ、生産性向上も労働時間短縮も実現できません。

そういえば、20数年前に会社勤めで営業部員だった時に、交渉状況や過去の交渉過程の共有化を提案したところ、「情報は営業員の財産だ。苦労して集めた財産を他人にあげるのか?」と却下されたことがありました。そういう時代だったかもしれませんが、残念な組織でした。その会社は現在存在しませんが。

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