社会保険労務士と雇用調整助成金

雇用調整助成金の支給申請に関する記事が東京新聞WEB場版に掲載されています。

手数料高額、多くの書類…申請断念も 業績悪化の企業向け「雇用調整助成金」
2020年6月2日 13時54分
新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した企業を支援する「雇用調整助成金」を巡り、社会保険労務士に支払う手数料が支給額を上回るなど高額で申請を断念する事例が出ている。政府は手続きを一部簡素化したが、多数の書類提出が必要で自力での申請は依然、困難な場合が多い。申請のハードルが高く、企業からは「必要な資金が行き渡らない」との声が聞こえてくる。
群馬県などで複数のホテルを経営する男性(61)は四月、売上高が前年比で三割以上減少し、長年契約している社労士に雇用調整助成金の申請を依頼した。しかし、受領見込み額が八万円なのに対し「手数料は十万円」と言われ断念。別の社労士を探したが、申請希望の企業が殺到して余裕がないと断られた。
雇用調整助成金は、売り上げが減少しても企業が従業員を解雇せずに休業手当を支払ったことを前提に、その一部を支給する制度だ。男性もアルバイトを含め約八十人いる従業員のシフトを減らしてやりくりするが「このままでは、従業員の一部を解雇せざるを得ない」と苦境を打ち明けた。
五月末時点で全国の労働局への助成金に関する相談は約四十万件に上るが、申請は約七万四千件。うち支給されたのは約三万八千件だ。支給までに二カ月を要する上、十種類以上の書類や出勤簿を含む添付資料の提出が求められることも制度活用の障害になっていた。
批判を受けて厚生労働省は五月、支給までの時間を二週間程度に短縮することを目的に、提出書類を減らすなど手続きを簡素化。だが、アルバイトが多いサービス業では、事業規模が小さくても実質上、簡素化の対象にならず社労士の手を借りざるを得ない。
社労士の手数料は成功報酬として支給額の一~二割が相場だが、これとは別に着手金を求められることも。取材に応じた複数の社労士が「最終的に支給額を上回ることがあり得る」と話した。
「今回に限らず助成金の申請は手間のわりに報酬が安く、責任も重い」と話すのは社労士事務所スローダウン(東京)の室岡宏代表。相談があれば、可能な限り低額で引き受けているというが「やりたがらない社労士は多い」という。社労士が及び腰なのは、昨年四月に助成金の不正受給に関わると罰則が強化されたことも影響している。社労士の多くは萎縮しており、重い負担が申請手数料を押し上げている面は否めない。
社労士の手数料を助成する自治体もあるが「件数は伸びていない」(さいたま市の担当者)。中小企業専門の経営コンサルタント須藤利究氏は「申請できずに終わる事業者も相当出るのではないか」と話した。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/32778

この記事にあるように、そんな簡単に申請まで行きつかないのは本当。

理由1.社会保険労務士だからといっても必ずしも助成金の申請ができない。
これは経験によるもので、約10年前のリーマンショックの時に雇用調整助成金の申請をした社労士であれば申請する能力はあるでしょう。リーマンショックの時の雇用調整助成金の申請をしていないと、回りくどい表現が多すぎて何のことやら理解不能になることがあり、簡素化されたといっても慣れない人はガイドブックすら読めない。

比較的最近に開業した人で顧問先が少ない人は助成金を切り口として顧問先の開拓する人がいますが、緊急事態で困っている会社は、経験が浅い人には依頼しづらいでしょう。当事務所にも顧問以外の会社から雇用調整助成金の申請依頼が何社もありましたが、業務多忙を理由にお断りしてます。顧問企業の分だけでかなりの量になってますので。

 

理由2.想像以上の添付資料が必要
助成金は全般的に、想像以上に大量の添付資料が必要。いったんは職安等の窓口で支給申請して受理されても、その後の審査の時に何度も何度も審査部門から電話で追加資料の提出や添付資料のわからないことの問い合わせがあります。慣れてない人は何を聞きたくて(確認したくて)電話があったかもよくわからない。添付資料がそろえば雇用調整助成金の申請準備の4分の3が終わったとの認識でいいでしょう。

 

理由3.労働法令が製造業中心に作られている
今回の新型コロナのときの最大の理由でしょう。申請様式が変わったり、添付資料の簡素化があったり、拡充措置が広がったりというのはサービス業のためと考えられます。
リーマンショックの時は最初に製造が休業して、その後一部の飲食業に影響が及んだのですが、今回は最初に飲食業や宿泊業や小売業等のサービス業が休業に追い込まれました。リーマンショックの時は今回ほど大騒ぎにならなかったのは製造業から始まったからです。製造業が休業しても現在の労働法令ではほとんど対応できるのですが、サービス業が休業したらほとんど対応できてないのです。

現在の労働法令は製造業を想定して作られているのです。

雇用調整助成金の申請にある、所定労働日、休業手当、労使協定等の言葉から説明しなければなりません。所定労働日=実際に労働した日数ではないし、休業手当を支払は無くても良いと考えている経営者もいるし、労使協定どころか雇用契約書を見たことない事業所(飲食店に多い)が無数にあります。ちなみに製造業では会社の年間カレンダーを作っているところが多いので説明しやすいし、休業手当も労使協定もわかってくれます。

 

最後に、この記事では社会保険労務士の料金(報酬)の記述がありますが、大きく分けて、(1)着手金+成功報酬、(2)完全成功報酬の2パターン。
受託する社労士や助成金の対象人数によって違いますが、おおよその相場観として
(1)着手金は5~10万円 + 成功報酬は5~10%
(2)完全成功報酬では、受給額×15~20%
くらいかな? (数人から聞いたところでは)

ちなみに当事務所では助成金の支給申請手数料はいただいていません。

 

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