労働生産性が高い国の不都合な事実(2020年1月28日)

政府は、労働生産性をあげるために、働き方改革で残業時間の上限規制をしていますが、残業時間を抑制すれば労働生産性を上がるのでしょうか?

この記事は、単なる数字だけでの考察で、あくまで統計上の話です。

まず、労働生産性の計算式を見ます。
労働生産性=付加価値額または生産量/労働者数または労働者数×労働時間

公益財団法人日本生産性本部が2018年12月19日に発表した資料(統計内容は2017年分)

【時間当たり労働生産性】
1位 アイルランド  97.55ドル
2位 ルクセンブルク 94.7ドル
6位 アメリカ    72.0ドル
7位 ドイツ     69.8ドル
10位 フランス    67.7ドル
19位 イギリス  53.5ドル
20位 日本  47.5ドル

日本はアメリカの約66%、ルクセンブルクの半分以下

【一人当たり労働生産性】
1位 アイルランド  164,795ドル
2位 ルクセンブルク 143,770ドル
3位 アメリカ  127,075ドル
8位 フランス  106,998ドル
13位 ドイツ  100,940ドル
19位 イギリス  89,674ドル
20位 日本  84,027ドル
日本はアメリカの約66%、ルクセンブルクの約半分

ルクセンブルクとは
人口、61万人
GDP、689億ドル
1人当たりGDP、113,000ドル

アメリカとは
人口、3億2700万人
GDP、19兆3,906億ドル
1人当たりGDP、59,531ドル

日本は
人口、1億2700万人
GDP、5兆ドル
1人当たりGDP、38,448ドル

当然ですが、労働生産性は、1人当たりGDPと同じ傾向があります。

ルクセンブルクは欧州の国で、あまり日本ではなじみがなく、EUの政治的首都くらいのイメージしかないのですが、アメリカなら何となくイメージできるので、アメリカ社会を考えてみました。
アメリカの労働環境というと転職が頻繁にあり、流動性が高い。一方の日本はだいぶ少なくなってきたようですが転職することは稀で特に大企業では新卒で入社した会社で定年を迎える終身雇用のイメージが強くあります。

そこで転職に関連するデータを調べてみたところ、労働生産性と関連があるものが出てきました。

失業率です。

 

【失業率(2018年 ILO発表)】
アイルランド  5.69%
ルクセンブルク 5.47%
アメリカ  3.93%
フランス  9.18%
ドイツ  3.43%
イギリス  3.95%
日本  2.45%

ちなみに過去の日本の失業率

2008年 3.9%(リーマンショック後)

2009年 4.0%

2010年 5.1%

労働生産性が高い国は失業率も高い(悪い)のです。
大雑把にいうと、少ない人数で効率よく仕事をしているということでしょうか。
アイルランド、ルクセンブルクは日本のリーマンショックの時よりも失業率が高く、フランスの失業率を見ると恐怖を感じます。もし日本で失業率が7%以上になったらどうなるのか、想像すらできません。

現代の日本企業では人材不足といわれていますが、社内に無意味で無駄な仕事が多く、そのために必要以上の人員を多数抱え込んでいるのも事実。今後、国内での生産増加は見込めないので、少人数が短時間で同じ生産量をあげろ、ということかもしれません。

もう一度労働生産性の計算式を見ます。

労働生産性=付加価値額または生産量/労働者数または労働者数×労働時間

労働生産性をあげるためには、同じ生産量であれば少人数で短時間で仕事するのです。
そのためには人員調整が容易にできるように法改正するのかな。

結論として、労働生産性を上げるには解雇規制を緩和することなのでしょうか?

少数の労働者が生産性を上げて働けない人たちの分を稼いで社会福祉として再分配するのか、国民が等しく貧しくなっていくのか、どうなるのでしょうか?

 

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