2022年10月から雇用保険料アップ

2022年10月から雇用保険料が引き上げられます。

 

マスコミ報道では、あれも上がる、これも上がる、上がらないのは給料だけだなんていわれてますが、雇用保険料も上がります。

しかも

1.5倍以上に!

上昇率150%以上!

 

 

1.雇用保険料どの程度上がるか
●2022年(令和4年)9月以前の個人負担率  ●2022年(令和4年)10月以降の個人負担率
一般の事業 1000分の3(0.3%)  ⇒   1000分の5(0.5%)
農林水産業 1000分の4(0.4%)  ⇒   1000分の6(0.6%)
建設の事業 1000分の4(0.4%)  ⇒   1000分の6(0.6%)

 

この料率は月給、賞与ともに適用されます。

また、雇用保険料の計算にも交通費が含まれますのでご注意ください。

例として計算してみます。

(例1)製造業の会社で月給300,000円(残業代、交通費等を含む)
・令和4年9月以前の個人負担
300,000 × 3/1,000 = 900円

・令和4年10月以降の個人負担
300,000 × 5/1,000 = 1,500円

 

(例2)建設業の会社で月給300,000円(残業代、交通費等を含む)
・令和4年9月以前の個人負担
300,000 × 4/1,000 = 1,200円

・令和4年10月以降の個人負担
300,000 × 6/1,000 = 1,800円

 

2.雇用保険料いつから上がるか
雇用保険料率を上げるタイミングですが、難しい役所的な表現では、「10月1日以降に最初に到来する締め日により支給される給与」
ということで、賃金締切日を基準にして変更します。

賃金締切日によって2つに分かれます。

 

(1)給料の締日が月末(9月30日)の場合
締日が9月30日、支給日が10月15日
→賃金締日が9月30日なので、10月15日支給の給与は従前の雇用保険料率で計算。
10月1日から10月31日の労働分である11月15日支給の給与から新しい雇用保険料率で計算。

 

(2)給料の締日が末日でない場合
締日が10月20日、支給日が10月31日
→賃金締日が10月1日以降なので、9月21日から10月20日の労働分である10月31日支払給与より、新しい雇用保険料率で計算。

賃金締日が10月1日よりも前か後かで、雇用保険料率を上げるタイミングが違います。

 

賃金支給日ではありませんのでご注意ください。

 

3.雇用保険料なぜ上がるか
2022年10月の雇用保険料の引き上げには、新型コロナウイルスの感染拡大が影響しており、主に原因は2つ。

 

(1)雇用調整助成金の給付増加
2020年5月から雇用調整助成金の特例が始まり、一時期は一人1日15,000円まで受給できました。
厚生労働省の発表によると、2021年12月時点で5兆円を超える雇用調整助成金の支給が決定してます。
そしてこの雇用調整助成金の財源は、雇用保険料から積み立てられていたのです(消費税は使ってません)が、これだけの給付を行えば、積立金が無くなります。そのため、雇用保険料の引き上げになりました。

 

(2)失業手当の給付増加
新型コロナウイルスの影響で、失業手当(失業等給付)の給付も増加しました。新型コロナウイルスによって業績の悪化や、事業縮小を余儀なくされた企業から解雇される労働者が急増して失業手当の給付を受けています。

厚生労働省の資料によると、2019年を100とした場合、2021年末には111.5%まで受給者数・申請者数が増加しています。失業手当の受給者が増えれば財政が苦しくなります。

 

雇用調整助成金に加えて失業保険の給付増加により、雇用保険の積立金はほとんど使い切っており、すぐにでも財源を確保しなければならなかったのですが、7月の参議院選挙前に雇用保険料を上げると選挙に影響すると思ったのでしょう。
選挙が終わった10月という中途半端な時期に雇用保険料を上げことになったと勘ぐってしまいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です