残業時間は、賃金締切日でリセットできる?(2025年5月11日)

「残業時間は、賃金締切日でリセットできる?」
と聞かれることがあります。

結論、リセットできません

なぜなら、労働時間は、労働基準法第32条で次のような定めがあります。

(労働時間)第三十二条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

※1 労働時間は、第1項で労働時間を1週間単位で定めていて、原則形(変形労働時間でない)の会社であれば、第1項で1週間で40時間、第2項で1日8時間を超えて労働させられません。

 

でも多くの会社では残業や(法定)休日労働があります。

時間外労働(残業時間)は労働基準法第36条で定めがあります。

(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

※2 労使協定(36協定)があれば残業させることができます。

 

さらに残業すると割増賃金が発生します。

割増賃金は労働基準法第37条で定めがあります。

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

※3 労使協定(36協定)の範囲以内で残業や(法定)休日労働させたら割増賃金を支払わなければなりません。

 

※1、※2、※3つを総合して考えてみます。
例を挙げると、36協定があり、1週間を月曜日から始める7日間で、給料締切日が月末日の場合、
6月28日(月)8時間労働
29日(火)8時間労働
30日(水)8時間労働

7月1日(木)8時間労働
2日(金)8時間労働
3日(土) 8時間労働
4日(日) 休み

このケースでは、7月3日(土)の勤務時間は全て残業時間になり、2割5分以上の割増賃金の支払いが必要になります。

なぜかというと、6月28日(月)~7月2日(金)までの労働時間が40時間になっているので、3日(土)は始業と同時に週の労働時間が40時間を超えてしまい、残業になります。
30日(月末日)で賃金計算期間が終わり、1日から新しい賃金計算期間が始まりリセットされるので残業時間にならない、ということはありません。

賃金の支払方法も労働基準法第24条で
・通貨で
・直接労働者に、
・その全額を支払わなければならない。
・毎月一回以上、
・一定の期日を定めて支払わなければならない。
と定められていますので、
賃金計算期間は最長でも1か月ですが、残業時間の計算は1週ごとに永遠と続きます。

 

残業時間の集計は、週の途中で賃金締切日が来てもリセットできません。

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