月間残業時間が60時間を超える会社は、1日の所定労働時間を8時間にするのがよい

月間の法定労働時間が60時間を超える会社は1日の所定労働時間を8時間にするのがよい

 

これは2023年(令和5年)4月1日から月間の法定労働時間外労働が60時間を越えると、超えた時間の割増率が通常の2割5分から5割に上がるからです。

月間80時間の残業では60時間を超えて80時間までの割増率が2割5分上がり、5割になるのです。

一般的に、残業時間は法定残業時間と所定残業時間があり、必ずしも同じではありません。

法定残業時間とは、1週間40時間、1日8時間を超えた労働時間。
所定残業時間とは、所定労働時間を超えた労働時間。

 

 

(1) 1日の残業時間

 

法定労働時間とは、1週間40時間、1日8時間を超えた時間のことです。
労働基準法では、1日の労働時間は休憩時間を除いて、8時間を超えてはいけません。
これを超えると時間外労働時間(いわゆる残業)になり割増賃金が必要になります。

 

一方、所定残業時間とは会社が決めた残業時間で、法内残業ともよばれます。
会社によっては1日の所定労働時間が8時間よりも短いことがあります。
例えば1日の所定労働時間が7時間30分の会社ですと、8時間働いたときは法定労働時間の8時間を超えてないが、所定労働時間の7時間30分を超えたので30分は割増賃金を支払っていることがあります。ですが法律ではこの30分は8時間を超えてないので割増賃金を支払わなくても合法なのです。もちろん30分の通常の賃金は支払います。この所定労働時間を超えても法定労働時間を超えない残業時間(法内残業)の存在が集計を複雑にしているのです。

 

この会社の場合、所定労働時間を超えた30分の法内残業については、割増率が上がる60時間超えの残業時間に含めなくてもよいのです。なぜなら、60時間を超えた残業時間は、1日8時間、週40時間を超えた時間だからです。

所定労働時間が8時間よりも短いと、所定労働時間超えの残業時間の集計と法定労時間外60時間超えの集計とで2回労働時間を集計しなければなりません。

大変ですよね?

1日の所定労働時間が8時間であれば集計が1回で済みます。

所定労働時間から60時間を超えた分の割増率を5割で支払うのであれば問題はありませんが残業代の支払いが過大になってしまいます。

 

(2)1週間の残業時間

 

繰り返しますが、法定労働時間とは1週間40時間、1日8時間を超えた時間のことです。

1週間の残業時間を集計するときにも所定労働時間が8時間よりも短いと複雑になります。
例えば、1日の所定労働時間が7時間30分の会社で、月曜から金曜までの5日間の各日の労働時間が7時間30分とすると月曜から金曜の合計が37時間30分。この週の土曜日に出勤したら2時間30分労働までは法定残業にはならず割増賃金は不要。しかし、2時間30分を超えたときから2割5分以上の割増賃金が必要になります。(土曜日出勤を始業と同時に割増賃金を支払えば労働者有利なので問題はありません)

集計不可能ですよね。

所定労働時間が8時間よりも短いと、所定労働時間超えの残業時間の集計と法定労時間外60時間超えの集計とで2回労働時間を集計しなければなりません。

大変ですよね?

1日の所定労働時間が8時間であれば集計が1回で済みます。

 

 

まとめ

 

法定労働時間を超える時間を簡単に集計するには、1日の所定労働時間を8時間00分にすることをおススメします。

月間残業時間が60時間未満であれば、8時間に変更する必要はありません。
この所定労働時間を8時間に変更することの目的は、月間60時間超えの割増賃金対策です。

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